IKEAが好きだった。


私の中では、ずっと「アイキア」だった。 コストコは「コスコ」。

カナダにいた頃に覚えた呼び方が、そのまま自分の普通になっていた。 日本に戻った時、IKEAはまだなかった。 コストコも、あるにはあったけど、まだそんなにメジャーじゃなかった。

だから「アイキア」「コスコ」の時代が、私には長かった。

数年後、IKEAが日本に本格上陸して、 コストコも少しずつ広がっていって、 みんなが「イケア」「コストコ」と呼び始めた時、 少し不思議な感じがした。


初めてアイキアに入った時

カナダにいた頃、初めてIKEAへ行った。

「なんて可愛いんだろう」と思った。

海外っぽい色。 暮らしの見せ方。 小さい雑貨。 部屋ごとに作られた、生活の気配。

その頃の私は、 好きなデザインや暮らしの作り方を、少しずつ学び始めた頃だった。 古いものは昔から好きだった。 でも、「なぜ好きなのか」とか、「どう組み合わせるか」とか、 そういうことは、まだわかり始めたばかりだった。

自分の「好き」に、いろんな情報が足され始めていた頃。 IKEAは、その入り口の一つだったんだと思う。

「かわいい!」「いいな!」「欲しい!」という気持ちが、 すごくまっすぐだった。 しかも、学生でも買えるくらい安い。

最初に買ったのが、シューズブラシと、ハートの手がついたクッションだった(笑) なんでそれを選んだのか、今となってはよくわからない。 でも、「ああいう暮らし」に、ワクワクしていたんだと思う。


ホームステイだから、置けない

私はホームステイだった。

「あれも欲しい」「これも可愛い」 と思うのに、自分の家じゃないから、買っても仕方ない。

その感覚が、少し切なかった。

その時、「家族と暮らしたいな」と思った。 今思うと、”自分の家庭”を持ちたかったんだと思う。

自分の空間を作って、 好きなものを置いて、 暮らしを作りたかった。


友達のシェアハウスの引っ越し

カナダ人の友達が、シェアハウスへ引っ越す時、 IKEAへ一緒に買い物へ行ったことがある。

家具を選んで、雑貨を選んで、 「ここにこれ置こうか」と話している時間が、 すごく楽しそうだった。

羨ましかった。

「自分で暮らしを作る」って、こんな感じなんだと思った。 その時間が、ずっと頭に残っていた。


ハートのクッションは、後の部屋にも混ざっていた

そのクッションは、 後になって、自分の部屋を作り始めた時にも使った。

白い布のベッドカバー。 帯。 古いドレッサー。 代官山で見つけたアンティークの椅子。

その中に、カナダのIKEAで買ったクッションも、 ちゃんと混ざっていた。

旅で出会ったものが、暮らしの一部になっていく。 その感じが、嬉しかった。


日本にIKEAが来た時

日本にIKEAが上陸した時、 やっと来た!と思った。

でも、不思議と、 カナダで初めて行った時ほどの感動はなかった。

もちろん今も、行くと楽しい。 でも、「あれも欲しい!これも欲しい!」という感じでは、なくなっていた。

人の感覚って、変わるんだなと思った。

あの頃の私は、 家具や雑貨を見ていたんじゃなく、 たぶん、未来の暮らしにワクワクしていたんだと思う。

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