homeflow — entrance & waiting
玄関に、ものが置いてある時がある。
母が作ってくれたおかずのタッパー。友人に渡したいお土産。お裾分けの袋。返す予定の本。リサイクルに出す段ボール。
どれも、ずっとそこにあるものではない。
まだ家の中にある。
でも、もう奥へは戻らない顔をしている。
靴箱の横に、ちょうどいい隙間がある。
そこに置いておくと、出かける時に目に入る。家の奥に置くには、もう少し外に近い。外に出してしまうには、まだ少し早い。
だから、玄関にいる。
おかずの入ったタッパーは、返す相手のところへ戻る。お土産は、誰かの手に渡る。本は、また別の棚へ帰る。段ボールは、家の中で役目を終えて、次の場所へ行く。
どれも、少しだけ行き先がある。
ひとつ置くと、もうひとつ増えることがある。紙袋が重なる。段ボールが少しはみ出す。隙間のはずだった場所が、いつの間にか小さな待合室みたいになっている。
でも、置かれているものは、まだここにいたいわけではなさそうに見える。
もう少しで出ていく。
でも、まだ出ていない。
玄関には、まだ出ていないものがある。
今日の家の中にありながら、少しだけ先の方を向いている。
text — homeflow編集部