homeflow — thing & color
赤が好きだと思っていた。でも振り返ると、本当に心に残っているものは、朱色が多かった。
大学に入った頃、姉と買い物をしていて、ものすごく好きな靴を見つけた。スペインのインポートの靴で、つま先が丸くて、白い革紐で縁取りしてあって、正面でリボン結びになっていた。セールになっていて、姉に誕生日プレゼントで買ってもらった気がする。その時は赤い靴だと思っていたけれど、今思えば朱色だった。いつかオーダーメイドしたいくらい好きで、今も捨てられずにいる。
その後、代官山を一人で歩いていた時に、古着屋でまさに好きな色のブラウスを見つけた。一点ものの古着で、「え、これ着ないと」と思った。でも時間切れで戻れず、そのまま買えなかった。ずっと心に残っている。今思えば、あれも朱色だった。
最近まで長く履いていたミモレ丈のスカートも、赤いスカートだと思って買った。でも人には「そのオレンジのスカートいいね」と言われた。あとから、これも朱色だったんだと気づいた。10年以上履いた。何度かお直しをしたけれど、最後は生地が傷んで裂けてしまって、数ヶ月前に手放した。今でも同じものが欲しいくらい、忘れられない。
赤だと思っていた。でも、少しオレンジが入っている。人からはオレンジと言われることもある。でも自分には、やっぱり赤に見える。その間にある色。朱色は、赤より少しやわらかくて、オレンジより少し色気がある。派手なのに、どこか古くて可愛い。
白やガラスや水色の空気の中に入ると、少しだけ空気を動かしてくれる。運命的に好きだったものを思い返すと、なぜか朱色が多い。赤が好きだと思っていたけれど、たぶんずっと、朱色が好きだったんだと思う。
text — homeflow編集部