組み合わせようと思ったら、宝の山だった。

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年賀状を作るのが、好きだった。

たぶん、大学生の頃だったと思う。母が、パソコンで年賀状を作っていた。年賀状を作るソフトが入っていて、そこにいろんな絵や文字や素材が入っていた。

なんだかおもしろそうで、私もなんか作ってみたいと思った。

最初は、入っている絵をそのまま眺めても、あまりピンとこなかった。きれいなものもあるけれど、そのまま一枚で使いたい感じとは少し違った。

でも、これって組み合わせられるのかなと思って聞いたら、母が「何でもできるよ」と言った。

それなら、とりあえずやってみようと思った。

そこからが、急に楽しくなった。

普通に眺めている時はそこまで動かなかったのに、組み合わせようと思った途端、全部が素材に見えてきた。単体では通り過ぎていた絵も、何かと重ねたり、小さくしたり、背景を抜いたりすると、急に使えそうに見える。

当時は、素材が入ったCDをパソコンに入れて、そこから絵を選んでいた。選んだ絵を取り込んで、サイズを変えて、背景を切り抜いて、重ねる。

それが、とにかくめちゃくちゃ楽しかった。

戌年の年賀状を作った時は、和のお正月っぽい絵柄の中に、グラフィック的な犬を散歩させている女性の絵を入れた。その女性が、シャネルスーツみたいな服を着ていた気がする。

ちゃんとお正月らしい背景の中に、急にそういう人がいる。

しかも犬を散歩させている。

それがなんか、妙にかわいかった。

年賀状らしいものは、ちゃんと入っている。お正月らしさもある。けれど、そこに少し違うものを入れると、急に動き出す感じがあった。

ちゃんとしているのに、ちょっと変。
お正月らしいのに、少しだけおかしい。
でも、その方がかわいい。

そういうところを探すのが好きだった。

最初に大親友に出したら、すごく褒めてくれた。それで調子に乗って、会社に入ってからも、同じような感じで年賀状を作って出していた。

会社の人に出す時は、さすがに少し遠慮した。

あまり変すぎないように、TPOを考えたパターンにした。とはいえ、牛をどーんと入れたりはしていたから、どこまで遠慮できていたのかは少し怪しい。

でも、いろんな人が褒めてくれた。

同僚のお母さんが「どうやって作っているのか聞いてきて」と言ってくれたこともあった。奥さんがデザイン関係の知り合いも多いけれど、そのプロたちを除いたら一番いい、と言われたこともある。

プロたちを除いたら、というところが少しおもしろいけれど、褒めてくれているのはわかった。

ほかのパターンもあるなら見たい、と言われたこともあった。

そういうことを言ってもらえるのは、もちろんうれしかった。でも、たぶん一番楽しかったのは、作っている時間だったと思う。

何をどこに置くか。
どれを大きくして、どれを小さくするか。
どこまでお正月らしくして、どこから少し外すか。

その小さな紙の中で、ずっと組み合わせていた。

今思うと、服でしていたことと同じだったのかもしれない。

ちゃんとしたものに、少し違うものを入れる。
少し真面目なものに、少しふざけたものを足す。
そのままだと通り過ぎてしまうものを、別のものと合わせてみる。

すると、急に空気が変わることがある。

年賀状は、小さな紙だった。

でも、その中に、背景があって、文字があって、絵があって、余白があった。そこに何を置くかで、全体の感じが変わる。

ただ素材を選んでいるだけではなくて、たぶん私は、その空気が変わるところを見ていた。

単体ではそこまで気にならなかったものが、何かと合わせると急にかわいくなる。
少し変なものを入れると、急に抜ける。
きれいにまとまりすぎていたものが、少し動き出す。

それが好きだった。

今思うと、私は素材を集めていたのではなく、空気を作っていたのかもしれない。

text — homeflow編集部