漆器は、少し改まるくらいがいい。

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漆器が好きだ。お椀を買うなら、基本的には漆器のものを選びたいと思っている。

実家にも、とても好きな漆器のお椀がある。高台がついた浅いお椀で、蓋もついている。お正月に出てくるもので、普段からどんどん使うものではない。食卓に出ると、それだけで少しお正月らしい空気になる。

祖父の家にあった漆器は、もう残っていないらしい。だから母が、セカンドハンドで見つけてきたものだったと思う。もともと家にあったものではないけれど、そのお椀はちゃんと実家のお正月に合っている。浅くて、蓋があって、高台があって、少しだけ背筋が伸びる。でも、緊張するほどではない。

漆器には、そういうところがある。立派に見せるというより、少しだけ場を改める。

うちにある漆器は、もう少し普段使いのものだ。だめになったら、たぶん買い替えるしかない。ずっとしまっておくものではなくて、日々の食器棚に普通に入っている。それでも、お椀はできれば漆器がいい。汁ものを入れたときの感じや、手に持ったときの軽さや、口をつけるところのやわらかさが、やっぱりいい。

とはいっても、きれいにそろえた高いものを買っているわけではない。セカンドハンドや蚤の市で、安くて、でもなんかいいものを見つけるのが好きだ。少し擦れていてもいいし、古くてもいい。でも、なんでもいいわけではない。手に取ったときに、すっと入ってくるものがいい。

朱色の、大きい菓子皿みたいなものもある。深い赤というか、朱色というか、なんともきれいな色で、少しだけ金の細工が入っている。たくさん金があるわけではなくて、さらりとある。そのくらいが好きだ。何かをのせると、普通のものでも少し違って見える。きちんと盛りつけました、というほどではない。けれど、ただ置いただけでも少し整う。

基本的には朱色が好きだ。深い赤の中に、少し暗さがある感じがいい。明るすぎず、でも沈みすぎない。食卓に置くと、そこだけ温度が少し上がる。けれど黒でも赤でも、感じが合えば買うと思う。色で決めているようで、最後はフィーリングで見ている。

重箱も、いつか漆器のものがほしい。お盆もほしい。でも、そんなにすごく出番があるわけではないから、急いではいない。いいものがあれば、という感じで、少しずつ機をうかがっている。今すぐ必要ではない。でも、いつかちょうどいいものに会ったら、たぶん買う。

漆器は、普段の中に少し改まった感じを入れてくれる。お正月の実家のお椀も、うちの食器棚にある普段使いのお椀も、朱色の大きな皿も、それぞれ少しずつ違う。でも、どれも食卓の空気を少し変える。

漆器は、少し改まる。でも、改まりすぎない。そのくらいが、うちにはちょうどいい。

text — homeflow編集部